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[0089] 蟲師の魅力 『蟲と人が織りなす幻想的な世界』

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あの幻想的な世界観の蟲師が還ってきた

蟲師 タイトル

2005年10月〜2006年3月にかけてテレビ放送されていた『蟲師』が、2014年の春に『続章』として戻ってきました。

『蟲師』はアフタヌーンシーズン増刊(1998~2002)、月刊アフタヌーン(2002~2008)で連載された漆原友紀の漫画作品です。

蟲師 ギンコ1

8年間待って、やっと続編のアニメ化です。

嬉しくない訳がありません。

今回は原作では、まだアニメ化されていないエピソードの全てを、2クールに分けて放送していくそうです。

まだ観たことのない人にも是非、この作品の幻想的で美しい世界に浸ってもらいたいので、今回は私の感想や主観を混じえて蟲師の魅力に迫りたいと思います。

今回は、かなりの長文なので、時間がある時に、読んで頂ければ、幸いです。

失われつつある日本の自然を美しく表現

02話 瞼の光より2

この作品は日本人であれば誰もが懐かしいと思うような風景に満ち溢れいます。

06話 露を吸う群れ

主人公のギンコは蟲師をしながら旅をしているので、海や川や孤島、農村や人里離れた山奥など、いろいろな場所を訪れます。

07話 雨が降る虹がたつ

訪れた先で観られる背景は色彩豊かな四季折々の自然を息を飲むほど美しく丁寧に描いています。

02話 瞼の光より1

繊細に描かれた背景は作品全体を、独特な雰囲気で包み込み、観る側を、おとぎ話や童話の世界に入り込んだような感覚にさせてくれます。

04話 枕小路 夕暮れ時の路地や

第11話 やまねむる 萌えるように息づいている草木。

03話 柔らかい角 雪に閉ざされた山村など、一々、美しく何処か懐かしさを感じさせます。

蟲に翻弄される平凡な登場人物たち

廉子(れんず)

物語の構成は一話で完結することが多く毎回、蟲の引き起こす不可思議な現象に翻弄される人達が登場します。

登場人物は、蟲の存在や、引き起される不思議な現象に疎いので、正しい対処を取ることが出来ません。

研ぎ師

原因も、わからないままに悩み、苦しむ者や、命を落とす者までいます。

スイ

登場する人物は蟲の影響を受けて悩んでいること以外は、強い個性を持たないキャラクターが多いです。

あこや

ですが、平凡だからこそ、考え方や価値観、生き方は、とてもリアルで観る側から共感できる部分が多いとも言えます。

ムジカ

物語ではギンコや、それ以外の蟲師や蟲に関わる職業をしている者も登場しますが、対処法を知っているからといって物事が万事、上手くいくとは限りません。

特異な能力を持っていても人は人。人にできることは限られている…

限られている上で、どう生きていくか?
どう生きられるのか?という事を考えさせられるアニメでもあります。

蟲師とは、どんな職業?

蟲師の研究資料

普通の人には見えない蟲に関するあらゆる事象を研究し対処方法を用いて生業を立てる者。

簡単に言うと蟲の影響を受けて困っている人を助けて報酬をもらう仕事。

現代で言えば霊能者や霊媒師が近い職業かもしれません。

第二十六話 『草を踏む音』1

蟲による影響は病気のように見える症状も多く、蟲師が薬を処方することもある、多少なりとも医療の心得があるように見えます。

旅するギンコ

主人公のギンコのように蟲を寄せ付ける体質の蟲師は、一つの場所に留まると、その場所に蟲が集まってきてしまう為、旅をしながら仕事をする者が少なくない。

狩房淡幽(かりぶさたんゆう)

また、一方では一つの場所に定住して仕事をする者もいる。

その場所から離れられない状況にある者。

第二十四話 『篝野行』7

生まれ育った場所で、蟲の研究を続けながら、故郷を守る者もいる。

第二十四話 『篝野行』4

基本的には単独で仕事をしているが、蟲師と蟲師の間では情報交換がよく行われているようで、他の蟲師の研究資料に目を通す事もある。

ギンコは実際に、見たことのない初見の蟲への対処方法にも通じていたりする。

また、蟲に関する確立されていない対処法を見つけようとするシーンが、何度もあることからも鋭い洞察力を持ち、研究熱心な者たちが多いと思われる。

露店を開くギンコ

第7話 『雨がくる虹がたつ』 では、露店を開いて惚れ薬になるという人魚のツメを販売しているシーンがある。

旅をする蟲師は、蟲を退治して得る報酬とは別に、退治した際に得た物を売り路銀を稼ぐ商人のような一面もある。

物語の中核となる『蟲』とは?

第十二話 眇の魚 蟲1

この物語の中核となる『蟲』とは動物や昆虫とも植物でも微生物や菌類とも違う、もっと、もっと『生命の原生体に近い異形のモノ』達。

一般の人間には見ることも感じることもできず、特殊な性質を持つ人間にしか蟲を見ることは出来ない。

見た目は(見える体質の者からは)微生物や昆虫や動物のような形態をとっているモノや人に擬態できるモノ、自然現象のようなものまで、実に様々な姿形をしている。

多彩なのは見た目だけではなく蟲が存在する事によって起きる現象は、自然界や人間界に与える影響が強く、自然現象にしか見えないものから人智を超えた妖しき現象まで存在する。

物語に登場する蟲を何例か紹介してみます。

空を浮遊する蟲

第十二話 眇の魚 蟲2

光を帯びて、空中を浮遊したり、地面を這いずる蟲たちは、大した影響力を持たない。

また、そういった蟲が集まって来ると、影響力持ってくるので、蟲タバコを吹きかけて散らしたりする。

虹蛇(こうだ)

第七話 雨がくる虹がたつ ナガレモノ

ナガレモノの一種。光と光酒(こうき)を含んだ雨が作り出す蟲で、蟲の中でも、自然現象そのものに近しいモノ。

蟲として命があること以外は、台風や洪水に似たような物で発生する理由はあれど目的は無く、何からも干渉を受けず、ただ影響だけを及ぼして去ってゆく。

ヒトがナガレモノに触れると憑く。

本当の虹との見分け方は色の順番が逆になっている事と、自然現象で現れる虹は見る者が太陽を背にした時にしか見れないが、『虹蛇』は、その法則に縛られない。

綿吐(わたはき)

第二十二話 『綿胞子』

身籠った女性の体に寄生し胎児を食べてしまう異形のモノ。

菌類のような性質を持つ蟲で奪った胎児の姿に擬態させて人茸(ひとたけ)として民家に放ち、人間に育てさせて養分を吸い取る特徴を持つ。

人茸は数年から数十年で寿命を迎え、最後には毒を吐く。

銀蠱(ぎんこ)

第十二話 眇の魚 ギンコ

常闇(とこやみ)と共生していて明け方になると銀色に輝きを放つ蟲。

この光を浴び続けると髪や肌が白くなり目が緑色になる、やがて片目を失い、残った目を失う頃には生き物を常闇(とこやみ)に変えてしまう。

ナマズと竜宮の使いを足したような姿をしている。

作中では、正式な名前は不明で、『銀蠱(ぎんこ)』とは観察研究をしていた、ぬいが付けた仮の名前。

常闇(とこやみ)

第十二話 『眇の魚』 常闇 昼間は茂った影がある場所でじっとしており、夜になると他の小さな蟲を喰らう蟲。

ヒトが常闇に飲まれると、道に迷い、自分の名前や過去さえ思い出せなくなる。

また、常闇に飲まれたヒトに触れると、触れた者も常闇に飲まれてしまう。

銀蠱(ぎんこ)と共生している。

クチナワ(くちなわ)

第十一話 やまねむる くちなわ

別名『ヌシ喰いの蟲』。山のヌシを喰う事により、そこのヌシに取って代わる蟲。

大蛇の姿をしていて鳴き声は鐘の音によく似ている。

クチナワに喰われたヌシは、取って代わられた時に山内にいた者以外の記憶から消えてしまう。

ウロ(うろ)

第十七話 虚繭取り ウロ

ウロは現世に風穴を開けてまわる恐ろしい蟲。

密室の外を嫌い、ウロ穴を開けて別の場所へ移動する特徴を持つ。

空の玉繭の中にいて、虚穴(こけつ)の外には長くいられない。

密室をみつけ虚穴に通ずる道を開ける。

この性質を利用して、蟲師は通信手段を得ている。

蟲師の世界観

第三話 柔らかい角

登場人物の服装や建物からすると日本の江戸末期から明治初頭のような雰囲気。

第四話 『枕小路』 刀

ただし、武士のような職業の者は、今のところ存在が見られない。

しかし、1期の四話『枕小路』に登場する研ぎ師が刀も研いでいることから、物語には登場していないだけで、武士のような職業の者はいるかもしれない。

第二十二話 『綿胞子』2

登場人物は全て着物を着用しているが、主人公のギンコだけはシャツにズボン、コートという一般でいう洋服を着ている。

しかし、登場人物がギンコに対して『変わった格好をしてる』というようなツッコミが入らないことから別段、変わった服装ではないらしい。

第二十三話 『沖つ宮』顕微鏡

科学を感じさせるような物は、ほぼ存在しないが、ルーペや顕微鏡(現実には1590年の発明品)をギンコが使用しているシーンが何度かある。

第三話 柔らかい角 ルーペ

物語の中には登場しないだけで、現実世界と変わらないくらいの科学の発展は蟲師の世界でもある模様。

私が考える蟲師のテーマとは

蟲師 ギンコ2 自然と蟲と人が紡ぐ幻想的な作品。『蟲師』のテーマとは何か?

『自然と人の共生』だと、私は考えます。

物語で起こる現象は『蟲』という存在が引き起こしているものです。

蟲を見えない人からすれば、蟲の起こす現象は、自然の引き起こす現象と変わりありません。

大雑把に言ってしまえば、人から見たら、蟲の起こす現象もひっくるめて、自然の一部と考えられます。

『蟲』は蟲としての営みを、ただ遂行しているだけですが、その営みは時として人に害をもたらす事もあります。

その営みが、たとえ人に害をなすものでも、自然の摂理の中では、何も悪いことではありません。

二十二話に登場する人の子を食べてしまう『綿吐』という蟲も人の視点から考えると悪い蟲ですが、『綿吐』からして見れば自分が生きる為に行っている正しい行為です。

全ての生命とは、他をおびやかすために在るのではなく、ただ、それぞれが在るように在るだけなのだという事が作品の根幹にあり、その自然(蟲も含む)と、人間は時には戦い、または逃れながら、どう付き合って生きていくのか?というのが、作品のテーマではないでしょうか。

難しいことを書いてしまいましたが、アニメの『蟲師』は原作の雰囲気を壊さないように、あらゆる点を、ひたすら丁寧に作りあげた作品です。

美しい背景や作画の崩れの少ない人物は去ることながら、音響効果や音楽も非常に高いクオリティで作られています。

美しい自然と蟲と人が織りなす幻想的な物語、『蟲師』

エピソードは一話完結なので、途中から観ても十分に楽しめます。

是非、一度、視聴をオススメしたい作品です。

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leon
2023年になった今も『蟲師 続章』のBD-BOXは発売されていません。1期のBD-BOXを持っている私としては是非、発売をしてもらいたいものです。





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