B.C.Rich モッキンバード ベースとの出会い

みなさん。お久しぶりです。leon(@leon_sk4_22)です。仕事が忙しくて、かなり時間が空いてしまいましたが、また少しずつブログを再開したいと思っています。
今回はモッキンバードというベースのお話です。ブログでは全く触れなかったモッキンバードというベースですが、実はかなり思い入れのある楽器なんです。
もう数十年も前の話になりますが、モッキンバード ベースの出会いから話させてもらいます。
時は遡ること1980年代後半の学生時代。世の中は空前のバンドブームでした。
国内では BOØWY や REBECCA、海外では Bon Jovi や Van Halen などが人気を集め、学校でもギターやベースを持ってバンドをしている友人は珍しくありませんでした。
ちなみに私の周りでは、Hanoi Rocks や Mötley Crüe といったバンドが好きな友人が多く、放課後になると友人の家へ集まり、ビデオを観たり、演奏を聴かせてもらったりしていました。そんな時間が当たり前のように流れているのが私の高校時代でした。
私はといえば、音楽には特別、明るくもなく、楽譜も読めませんでした。ただ音楽を聴くことは好きだったので友人たちの演奏を横で聴いているだけでしたが、ある時、新しいベースを買うという友人から初心者用のモデルを譲ってもらえることになりました。
多くの友人たちは普通にギターやベースを弾いていましたので、私にもできるのではないか?とTAB譜を頼りに弦を弾いてみました。ですが、私には才能が無いのか、全く弾くことができません。
思うように動かない指。 掴めないリズム。
結局、半年ほど触ってみたものの、一曲通して弾くことさえできませんでした。
今思えば、挫折というよりは『憧れだけを抱えたまま、静かに熱が冷めていった』という感覚だったのかもしれません。
そのうち別の友人がベースを探しているという話を聞いて、弾けなかった初心者用のベースは彼に譲ることに。
こうして私のベースとの出会いは一旦、幕を閉じることになります。
モッキンバードとの衝撃的な出会い

そんな頃、友人の一人が手にしたのが『白いモッキンバード』でした。 それまで彼が使っていたワーロックも衝撃的な形をしていましたが、このモッキンバードと呼ばれるベースは別格でした。 長く伸びたネック。深く重厚な低音。
そして何より、あの独特のボディライン。
まるで雲が流れるような、有機的で官能的なシルエットが印象的でした。 『なんて格好いい楽器なんだろう』 私は一瞬で心を奪われてしまいます。
友人の話では当時の価格で約8万円。高校生の私には到底手の届かない金額でしたし、そもそも自分にはまともに弾くことすらできない代物です。
それでも、その時からモッキンバードのベースという存在は、私の心の奥底にそっと消えない火を灯している。そんな感覚を憶える楽器になったことは間違いありません。
1997年、木目調モッキンバードとの再会

それから10年以上が過ぎ、社会人になった私はベースのことなどすっかり忘れていました。
この頃はゲーム全盛期。
『ドラゴンクエスト』、『ストリートファイターII』、『セガラリー』、『ファイナルファンタジー』。
次々とリリースされるゲームソフトはハードと共に目まぐるしく進化して、その広がりを見せる世界に夢中になっていました。
他にもMR2でサーキット走行を楽しんだり、夏になれば海へボディーボードを持って波乗りへ行ったり、冬になればスノーボードをしに山に行ったりと、忙しい日々を送っていました。
そんなある日、ゲームソフトを買いに訪れたヨドバシカメラで、私は再び『それ』を見つけることになります。
ヨドバシカメラのビルの上層階にあるCDショップの楽器コーナー。そのショーケースの中にナチュラルカラーの木目調のモッキンバードは展示されていました。
飴色のような艶のある木目。
深みのあるブラウン。
高校時代に友人が持っていた白いモッキンバードとは違う、はるかに大人びていて渋い存在感を放っていました。
そして値札には『18万円』という金額が…。しかも、この金額で中古品だった記憶があります。
その価格にも驚きましたが、ショーケース越しでも伝わってくる圧倒的な風格に、私の目は奪われてしまいました。
『欲しい…』
心の中ではそう叫んでいました。ですが、やはり私には高価過ぎます。
なにより、一度挫折した経験が自分の中に大きく残っていました。
その後、ヨドバシカメラへゲームを買いに行くたびに、その店へ立ち寄っては眺めるだけの日々が続きました。
そして、いつしかその一本は誰かの手に渡り、姿を消してしまいます。
私は寂しさを感じながらも、『弾けないのだから仕方がない』と言い聞かせて納得することにしました。
ですが、あの木目の美しさとボディラインは、その後もずっと私の脳裏に鮮烈な残像として残り続けることになります。
2009年、『悪魔の囁き』で手に入れた一本

それから、さらに12年ほどの月日が流れた2009年秋。この頃には年齢もあって、サーキットやボディーボード、スノーボードは、すっかり疎遠になっていました。
当時はiPhone 3GSを手に入れて写真を撮るのが趣味になっていました。この頃になると無料のブログに撮った写真をアップしたり大人しく遊ぶことが増えていた印象です。
そんな時にインターネットの海で、私は再び、あの頃の残像と重なるモッキンバードを見つけることになります。
そのモデルは『B.C.Rich MKB-1600JE BASS(Japan Edition)』と銘打たれていました。 調べてみると、2007〜2008年頃に販売されていたジャパンエディション最上位モデルとのことでした。 フレイムメイプルとマホガニーを贅沢に使用し、スルーネック構造や各種スイッチを搭載した豪華仕様。さらにGOTOH製パーツも採用されており、非常に魅力的なモデル。
あの楽器店で見た18万円のUSA製モデルの飴色のような深いブラウンとは少し印象が違い、こちらは黄色味が強く、どこか若々しい雰囲気。
それでも、私の心は大きく揺れていました。価格は新品で12万8千円。
中古で18万円だったUSAモデルよりは現実的な価格ですが、それでも『弾けないのに購入するには高すぎる』という気持ちがありました。
ですが、この頃には時代も変わりYouTubeやDVD教本。そしてiPhoneアプリの『TabToolkit』はTAB譜通りに押さえるタイミングまで教えてくれるという時代になっていました。
『今なら、今度こそ弾けるようになるかもしれない』そう思い、販売店へ問い合わせをしてみました。
すると電話に出た店員さんから『運がいいですね。良い木目の個体が一つだけ残っていますよ』という言葉が返ってきました。
あれは、まさに『悪魔の囁き』のように聞こえました。
1995年、あの楽器店にあったモッキンバードはショーケースを眺めることしかできなかった自分。 私はその時の自分に決別するような気持ちで、購入を決意します。
東日本大震災、そして15年の封印

いざ手元に届いたものの、やはりベースは簡単ではありません。
YouTubeには『弾いてみた』動画はありましたが、当時はベース演奏だけを丁寧に解説している動画はまだ少なく、TAB譜付きのものも多くありませんでした。
DVD教本も初心者向けとはいえ、知らない曲が課題になっていたりして、どうにも身に入りません。
半年ほどすると、モッキンバードは練習道具というより、部屋を彩る『美しいオブジェ』になっていました。 ですが、それでも後悔はありませんでした。 見る度に、ため息が出るほど美しいベース。私には、それだけでも十分に感じられたから。
そして2011年3月。東日本大震災が発生しました。
当時、私は仕事で車を運転していると突然、車体が大きく上下に揺れ始めました。驚いて車を停めて外へ出ると、電柱が大きく揺れ、電線は今にも切れそうなほどしなっていて、それが巨大地震だということを理解しました。
逃げ場を探して道路の反対側を見ると、田んぼの地面が波打つように揺れていました。
その光景は、今でも忘れることが出来ません。
そうこうしているうちに地震はおさまって事なきを得ることができました。

仕事を終えて帰宅すると、本棚から本が落ち、部屋は足の踏み場もない状態になっていました。
ですが、部屋の片隅に立て掛けてあったモッキンバードだけは、奇跡的に無傷。
私は『無事で良かった』と心から安心しました。しかし、その後も余震は毎日のように続き『もし自分がいない間に倒れて傷が付いたら』と不安に思う毎日を送ることになります。
とりあえず購入時に付属していたソフトケースへ収納し、1階の引き違いクローゼットの奥へ避難させることにしました。
『しばらく落ち着くまで…』
そんなつもりでしたが、その封印は結果的に15年もの歳月を数えることになります(汗)
2026年4月、15年の眠りからの目覚め

再会のきっかけは、クローゼット内の除湿剤の入れ替えから始まります。
クローゼットにはお気に入りのコートが入っていて毎年、定期的に除湿剤と防虫剤の交換をしています。それが今年は交換を忘れてしまっており、気付けば除湿剤がパンパンに膨らみ、破裂していました。
床にはゼリー状になった薬剤が広がり、水浸しになっていました。
モッキンバードは少し離れた場所に置いてあったため直接の被害はありませんでしたが、『長期間、高湿度状態だったのではないか』という不安が一気に押し寄せてきます。
恐る恐るソフトケースを開けようとすると、ファスナーの持ち手が『ポキッ』と折れてしまいました。
経年劣化なのか、湿気の影響なのか。
それを見た瞬間、不安がさらに大きくなりました。

意を決してケースを開封すると、ボディには埃が積もり、塗装面は全体的にベタベタとしていました。『塗装が加水分解か何かで溶けているのだろうか?』 でも、そのまま放置するワケにはいきません。
AIのアドバイスを参考にしながら、固く絞ったマイクロファイバークロスで慎重に拭き上げ、その後、楽器用クロスで丁寧に乾拭きをしてみました。
すると、どうでしょう。ベタつきは嘘のように消え、その下から15年前と変わらない艶やかな輝きが現れたのです。 ブリッジもペグも、驚くほど綺麗な状態でした。
製造から18年、そのうちクローゼットの中で15年もの年月を経ても、このモッキンバードは静かに生き続けていたんです。
新たな『目覚め』これから先の未来

高校時代の憧れ。1997年に楽器店で見たショーケースに入ったモッキンバード ベース。震災の日の不安。
そして、その後の15年間の沈黙。
私の人生の断片を吸い込みながら、このベースは変わらずに、じっと私を待ち続けてくれていました。
弾けるかどうか。
上手いかどうか。
そんなことは、この美しさを前にすると些細なことのように思えてしまいます。
私にとって、このモッキンバードは、過ぎ去った時間と今の自分を繋ぐ、世界で唯一の特別な一本ではないかと感じさせてくれます。
この木目の美しいモッキンバードは、眺めているだけでも十分に満足できる存在です。

ですが、せっかく15年の眠りから目覚めてくれたのです。今度はオブジェとしてではなく、『楽器』として、もう一度息を吹き込んでみたいと思うようになりました。
幸いなことに、時代はさらに変わっています。
今ではYouTubeを開けば、TAB譜付きの演奏動画や、基礎から丁寧に解説してくれる動画が数え切れないほど存在しています。
かつての自分が挫折した『壁』も、今なら少し違って見える気がしています。
まずは一曲。 いや、ほんの数フレーズでも構いません。
あの頃、友人の家で聴いていたような腹に響く低音を、今度は自分の手で鳴らしてみたいと思っています。
クローゼットの中で15年間、静かに待ち続けてくれていた、このモッキンバードと共に。私のベースライフは、2026年の現在になって、ようやく本当の意味で始まろうとしているのかもしれません。

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