不遇のマスターシリーズ レイルマスター ファーストモデルを復刻
みなさん、こんにちは。leonです。前回は初代マスターシリーズ3部作の60周年記念モデルとして発売されるシーマスター300 クロノメーター60周年リミテッドエディションについてご紹介させて頂きました。
最終回となる今回は復刻版シリーズ第3弾!!レイルマスター クロノメーター60周年リミテッドエディションの紹介です。
クロノグラフバージョンであるレイルマスタークロノグラフについては以前の記事で紹介させてもらっていますので良かったら覗いてみて下さい。
【参考記事】
[0032] 二つ目の機械式時計 Ω オメガ レイルマスタークロノグラフ
レイルマスターはスピードマスターが持つクロノグラフのような見た目の派手さはありません。またシーマスターのような回転ベゼルや200m防水機能などの目玉となる特徴を持ちあわせてもいません。唯一の特徴といえば『磁気帯びしない』という非常に地味な機能を持つのみとなっています。
マスターシリーズ3部作の中で唯一の不人気モデルと言っても過言ではありません。
事実、1955年に発売されたレイルマスターは1960年頃にはカタログのラインナップからも姿を消してしまいます。 発売から、わずか5年という短い期間で販売停止になってしまったことからも人気の無さがうかがえます。
しかし、特徴的な外見を持たないシンプルなデザインは、ビジネスシーンやフォーマルの場にマッチする高い汎用性を持つ『地味だけど味のある腕時計』だとleonは考えます。
今回は、シンプルで飽きのこないレイルマスターの魅力についてご紹介していきたいと思います。
レイルマスター クロノメーター60周年リミテッドエディションの製品仕様
【 レイルマスター クロノメーター60周年リミテッドエディションの製品仕様】
【品名】Ω レイルマスタークロノメーター60周年リミテッドエディション
【型番】Ref.220.10.38.20.01.002
【ムーヴメント】クロノメーター8806
【耐磁性能】15,000ガウス(1.5テスラまで)
【パワーリザーブ】55時間
【文字盤】ブラックトロピカルダイヤル
【ケース】ステンレススチール(SS)
【ケースサイズ】約38mm(リューズ除く)
【ケース厚】約12.7mm
【風防】強化サファイアガラス風防
【防水】6気圧(60メートル防水)
【発売年】2017年5月頃
【希望小売価格】788,400円(税込)
【販売本数】限定 3,557本
15000ガウスの磁力からムーヴメントを守る強固な耐磁性能を誇るレイルマスター
レイルマスターが持つ最大の特徴は前述の通り『耐磁性能』です。腕時計を磁力から守る必要があるのか疑問に思う方もいるかもしれませんが水やホコリ等と同等か、それ以上に磁力というのは機会式腕時計にとっては大敵なんです。
機会式腕時計のケース内に搭載されたムーヴメントの部品の多くは主に鉄を使用しています。それらの部品が、それぞれ磁力を持ち引きよせ合ったり反発するようになってしまったら正確な時を刻むことなど出来なくなってしまいます。
『でも普段の生活で磁力の強い所なんて行かないよ』と思ったそこのあなた。実は普通に生活をしていても磁力は身近にあるんです。たとえば電子レンジやPC・スマホ・テレビ・ヘッドホン等、挙げたらキリがありません。
むしろ磁力の無い場所で生活すること自体が難しい世の中になってきています。
【オメガ作成した説明動画】
磁気帯びてしまったムーヴメントは『脱磁処理』を行う必要があります。軽い磁気帯びなら時計ごと脱磁機にかけてあげれば消磁することができますが、場合によっては部品をバラして『消磁処理』を行わなければならないケースもあるそうです。
しかし、15000ガウスという強力な磁力に対しても耐性を持っているレイルマスターなら全く問題ありません。
オメガが開発した超耐磁処理方法とは?
今までの耐磁処理方法は磁力の影響の受けやすいムーブメントを軟鉄素材を使用したインナーケースで包み込むことで防御していました。 炭素含有量の少ない軟鉄は磁力を通しやすく避雷針のように受け流す性質をもっています。
機械式時計は100ガウスの磁力でも影響を受け精度を落ちると言われていますが、この軟鉄製インナーケースを利用することで1,000ガウスまでの磁力からムーヴメントを守ることができます。
例えばノートパソコンは150ガウス・スマートホンに使われるスピーカー等では300ガウス程度が一般的といわれるので軟鉄製インナーケースは有効といえます。
しかしバックに使わている留め具用のマグネットや磁気ネックレスなどは1,000〜2,000ガウスを超えるものも出てくる為、普段の生活で全ての磁束からムーブメントを守るには心許ありません。
そこで考案されたのがムーブメントの部品自体を非鉄製に変更することです。バランススプリングはシリコン製にバランスホイールはチタン製の素材へと変更しムーブメントを設計しました。
鉄を使わなければムーブメントは外からの磁力に影響されること無く正確に時を刻み続けることができます。その耐磁能力は15,000ガウスまで対応し非公式な実験では80,000ガウスまで異常無く時を刻み続けたそうです。
ロレックスのミルガウスですら耐磁1,000ガウスですからオメガのレイルマスターが、いかに凄いか判っていただけると思います。
『ムーブメントを非鉄にして磁気帯びさせない』言葉で言うのは簡単ですが技術的には難しものだったに違いありません。事実、15000ガウスに耐えうるシーマスター・アクアテラが発表されたのが2013年の事ですから軟鉄で覆われていた初代のレイルマスター(1955年)の発売から実に58年もの歳月がかかっている事になります。
2013年の、この発表は機械式腕時計が磁場の影響下から開放された年と言って良いかもしません。
CO-AXIAL脱進機搭載でオーバーホールの時期が飛躍的に延長!!
磁力から開放されたレイルマスターですが、忘れてはならないもう一つの特徴がありました。それはコーアクシャル(CO-AXIAL)脱進機が搭載されていることです。
通常の機械式時計は4〜5年に一度はムーブメントのオーバーホールが必要になります。これは機械動作による各部品の汚れの洗浄やオイル切れの発生を防ぐ為ですが、コーアクシャル脱進機が搭載された腕時計は10年間はメンテナンスフリーでも問題無く使用可能だと言われています。
その秘密は通常方式のムーブメントよりもエネルギー伝達のロスが少なく、ガンギ車と接触する爪を増やす事により部品の消耗を分散できるような設計になっているからです。
コーアクシャル(CO-AXIAL)については勉強不足の為、今回は詳しい説明は控えますが、機会があれば別記事で紹介させて頂きます。
マスターシリーズ随一のシンプルさ 飽きのこないデザインが魅力
一見、複雑そうなクロノグラフ文字盤を持つスピードマスターや回転ベゼルの付いたシーマスターと違いレイルマスターのデザインは至ってシンプルです。強いて言えば文字盤の『12・3・6・9』の表記と三角形のインデックスがデザイン的な特徴でしょうか。
このシンプルなデザインはスーツ姿に持って来いですし冠婚葬祭の場で身につけていても何ら違和感を感じさせません。文字盤のアラビア数字や三角形のインデックスは好き嫌いが別れる所ですが、leon的には非常に好みなデザインです。
パッと見はシンプルで、よく見ると遊び心のあるデザインが特徴の機会式腕時計レイルマスターは『Simple is Best』という言葉が非常に良く似合う腕時計だと思います。
飽きのこないシンプルなデザインで15,000ガウスの耐磁能力と10年メンテナンスフリーを実現させたコーアクシャル脱進機を搭載したレイルマスター。こちらも別の意味で『一生モノ』となり得る腕時計ではないでしょうか。
60周年記念モデル マスターシリーズ3部作 全部乗せのトリロジー特別BOXも発売!!
3回に渡りオメガ 60周年記念モデル マスターシリーズ リミテッドエディションについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。初代のマスターシリーズを完全再現したといえる、こちらのシリーズは2017年5月に発売予定となっていますが、なんと3本全てが乗せられた特別BOXが限定で557個だけ販売されるそうです。
そのお値段は2,494,800円(税込み価格)となっています。木箱や替えベルトもセットされて限定感がハンパ無いです。
前回も書きましたが購入は難しいけどオメガ好きとしては一目だけでも現物を見てみたい商品です。というか正直欲しい!!
↓こちらはレイルマスタークロノグラフ
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