新品の靴なのに革の表面はオイル切れでカサカサ!? その理由は?
みなさん、こんにちは。最近、靴ネタが多いleonです。今回は先日、購入したシェットランドフォックスのGlasgow(グラスゴー)をおろす前にシューケアを行ってみました。
なぜ、新品の革靴を履く前にケアをするのか不思議に思う方もいるかもしれません。ですが、新品で見た感じがキレイな状態でも実は革の表面はオイル切れを起こしてカサカサに乾燥している可能性があるんです。
革製品は革を保湿する為に定期的にクリームを塗って栄養を与える必要があります。でも新品の靴は製造後、『検品』 →『 出荷』 →『 配送』 →『 店頭で陳列(箱に入ったままの場合もある)』→ 『ユーザーが購入』という工程を経てあなたの元へやってきます。
製造された時にクリームが塗られていたとしてもユーザーの手元に届くのが1カ月後なのか、はたまた数年後の事なのかは知ることはできません。
自分が購入して手元に来た時には、すでに数年経過している可能性だってありえます。そんな場合は革に塗られた保湿のクリームの成分は飛んでしまい乾燥していてもおかしくはありません。
グラスゴーの革の表面を確認してみる
上の写真を見てもらうと判りますが、まだ一度も足を通したことの無い革靴なのに、よく見ると所々にシワが入っています。
原皮の時から付いていたモノなのか、それとも製造工程でデキたシワかは判りません。ですが、こういった力が加わりシワになった部分は他の部位よりも弱く、年月の経過によってヒビが入ってきてしまうことは珍しくありません。
保湿クリームを塗り栄養が行き渡った革の表面は柔軟性があり、しなやかなので問題はありません。ですが、クリームを塗ってから数年経過していたとするなら革の表面は油脂切れが起きて乾燥し硬くなっていることが想像されます。
新しいといって、そんな可能性をはらんだ状態でガンガン履き始めるのは、やはり気が引けてしまいます。
せっかく奮発して購入した革靴。できるだけ長く付き合いたいのであれば新品のビジネスシューズをおろす時は必ずケアを行ってから履くのが望ましいと思います。
お手入れする時にはシューキーパーを入れると便利!!
お手入れに入る前に一つ便利アイテムを紹介しておきます。靴磨きをしていて『やりづらいな』と思うのが、靴がたわんでペコっと凹んだりすること。
靴の中が空洞になっているのでクリームを塗り込もうとして凹んでしまうのは当たり前ですよね。
実際には軽く滑らせるようにクリームを塗っていくので、そこまでたわむ事は無いのですが、たまに勢い余ってしまうこともあり神経を使うんです。
また下手に凹ませて新たなシワを作ってしまっては本末転倒。
そんな時に便利なのがシューキーパー(シューツリー)です。シューキーパーを入れておけばカッチリして、たわんだり凹んだりしませんので気兼ねなくブラッシングやクリームを塗り込むことができます。
本来のシューキーパーの目的は靴の反りによる型くずれを防止することですが、メンテナンスの時にも活躍してくれる強い味方。ちょっと良いビジネスシューズを履いている方なら是非、使ってもらいたいアイテムです。
以前にシェットランドフォックスのシューキーパーについても記事にしているので良かったら読んでみてください。
【参考記事】[0116] 革靴を長持ちさせる必需品SHETLANDFOX シューキーパー
ブラッシングで汚れを落とし革の表面をならす
まずは靴の表面に付着しているホコリをブラッシングして落としていきます。コバまわりなどの溝になっている部分は特にホコリが溜まりやすいのでブラッシングを念入りに。
今回は新品の状態からのメンテナンスなので目立ったホコリはありませんが、革の表面を馴染ませる効果もありますので力を入れずゆっくりとブラッシングしていきます。
すると、ここでビックリする事が起こります。ブラッシングをした革の表面に細かい擦り傷がたくさん入ってしまいました!!!!!?
Glasgow(グラスゴー)はアッパーにイタリアのフラスキーニ社チプリアのカーフ革を使用しているらしいですが、そんなにデリケートなモノなの?
今までブラシをかけたくらいで傷が付く革など見た事がなかったので本当に驚きです。
ステインリムーバーでワックスを落としてみる
『革靴なんてブラシをかけるのを前提に作られているのに、こんな傷が付くのはおかしくない!?』そんな焦る気持ちを抑えながら冷静になって考えてみます。
ここである予想が思い浮かんできました。『もし予想が正しければ傷はキレイに消えるかもしれない』と一縷(いちる)の望みを抱きながら出荷時にかけられたであろうワックスをステインリムーバで落とます。
まずはキレイな布にステインリムーバを湿らせます。
※ちなみにリムーバーは液状で伸ばしやすい M.モゥブレィステインリムーバを使用。
力を入れずに、やさしくこすっていきます。すると革に塗られていたワックスが取れて表面の艶が無くなってきました。そして同時にブラッシングで付いた細かな擦り傷も薄くなってきました。
察しの良い方はもうお判りでしょうか。そうです。細かな傷が付いたのは革本体ではなく、革の表面に塗られたワックスが剥がれて傷付いているように見えたようです。
シェットランドフォックスが新品の製品に何故、そんなワックスを塗っているのか判りません。長期間油分が飛びにくいとか何か理由があるのかな?とにかく自分の勘違いで良かった。
栄養を与える為にデリケートクリームを塗り込む
汚れ落としを、かけてしまうと革の表面についていた保湿成分が抜けてしまうのでREGALの保湿クリーム(デリケートクリーム)を塗り直してあげます。
このクリームの主な成分は『ロウ』と『油脂』。『ロウ』は艶出しと革の表面を保護する効果が有り『油脂』には革に栄養を与える成分が含まれています。
本来の目的である革に栄養を与えるだけであればデリケートクリームを塗れば十分に栄養は行き渡ります。でもグラスゴーに使用されているフラスキーニ社のカーフは素仕上げに近い状態で仕上げられていて使用していくと褪色しやすいらしい。
今回は褪色予防も含めて靴墨を塗ってみます。
シェットランドフォックスのBees Creamを塗って褪色予防
保湿が終わって30分程、放置して表面が乾いたら今度はシェットランドフォックスのBees Cream(純正ブラウン)を薄く塗り込んでいきます。
一般的には米粒1個程度の靴墨を塗り伸ばしていくのが望ましいと言われますが靴全体に行き渡せるにはとても足りません。私の場合は片足につき米粒5〜6個分は使ってしまっています。
靴磨きのプロは一体、少ない靴墨をどうやって塗り伸ばしているのか興味がありますね。ちなみに、この靴墨は以前の記事で日比谷にあるシェットランドフォックスへシューキーパーを購入しに行った際についでに購入したもの。
塗り終わったらブラシで靴墨を均等に伸ばしていきます。最後にシュークロス(使い古しのTシャツやストッキングでも良い)で磨きあげてあげればアッパー部分のケアは完了です。
茶色は靴ずみの種類や経年変化によって変化が出やすいのでケアが楽しい!!
ちなみにデリケートクリームのみと靴墨(Bees Cream)を塗った状態の比較できる写真を参考までに挙げておきます。上の写真は左足が保湿クリーム+靴墨。右足は保湿クリームのみですが、色合いに違いがあるのが判るでしょうか?
写真ではなく実際に肉眼で見ると明らかに色の違うのですがシェットランドフォックス純正のブラウンの靴墨は心持ち、赤みを帯びているようです。
黒い革靴は何を塗っても黒は黒で面白味にかけますが、茶色の靴は塗り込む靴墨によって色々な表情を魅せてくれるので手入れをするのが楽しいですね。
お手入れはアッパーだけじゃない!? 靴底のメンテも忘れずに
革のアッパー部分に目を奪われて忘れがちなのが靴底。『靴底のケアなんて必要なの?』と疑問に思う方もいるかもしれませんね。一般的なビジネスシューズは靴底にゴム素材を使用していますが、中には靴底の素材としてレザーソール(革)を利用した製品もあるんです。
靴底の素材が革の場合は靴底にもクリームを塗り込んであげることで靴底の革にしなやかさを与えソールの反り返りを防止したり底の磨耗を抑える効果がありますので忘れずにケアしてあげます。
お手入れ方法はアッパー側と、殆ど変わりません。ステインリムーバーを使用し元に塗られているであろうワックスを落とします。次に保革です。 レザーソール専用のケア用品もありますが今回はデリケートクリームで代用しました。
機会があればレザーソール用のケア用品のレビューもしたいと思いますが、それはまた別の記事で。
革靴を下ろす前のシューケア(下準備)完了!!
これで革靴をおろす前の下準備は完了です。
新品時に塗られたワックスを落とし保湿クリームと靴墨を塗り直す事で革の表面がしっとりとして良い感じになりました。
ブラッシングしただけで革の表面が傷だらけになってしまった時は、どうしようかと思いましたが、表面のワックスが剥がれることによってできた傷だったので一安心です。
さあ!! 準備は全て整いました。あとは履き込んでグラスゴーを自分色に成長させていくだけです。これからどんな風に経年変化をしていくか楽しみ。
もちろん、長く履いて行くためには月に一度くらいのメンテナンスは必要になってきます。面倒だといってメンテナンスを怠ることの無いよう心がけていきたいと思います。
革靴を長く履くコツは適度に履き込むことと、定期的にメンテナンスをしてあげること。コレに尽きます。グラスゴーについては、また何らかの形で記事にしたいと考えておりますので、その際にはよろしくお願いいたします。
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