シェットランドフォックス Glasgow (グラスゴー)をハイシャイン仕上げしてみたい
みなさんこんにちは、leonです。前回の記事では新品の革靴をおろす前に、お手入れをしておくことが革靴を長く履いていく為の第一歩というお話をさせてもらいました。
【参考記事】[0118] 革靴を長く履く為のコツ 新品の時にもシューケアが必要?
お手入れをしたのはシェットランドフォックスのグラスゴーという革靴です。このグラスゴーは私が以前からずっと欲しかった明るいブラウンのカラー展開があり、つま先がスマートで美しいのが特徴のストレートチップ。
やっと理想のストレートチップを手に入れられたので、いろいろ試してみたいと思いました。真っ先に思い浮かんだのが、つま先や踵をワックスと水を使い磨き込むハイシャイン仕上げ。この仕上げを行うと鏡のように物が映り込むほど輝くことから鏡面仕上げとも言われてます。
ネットで調べてみるとKIWIのパレードグロスという光沢ワックスを使用すれば簡単にハイシャイン仕上げが出来るというので早速、購入してみました。
意気込んでキウイのパレードグロスを購入してみたが….
光沢ワックスはハイシャイン仕上げ(靴のつま先やカカトを鏡面のように輝かせる)をする時に使う専用のワックスです。私は何の理由も無く、このワックスさえ入手すれば簡単にハイシャイン仕上げ出来るものと考えていました。
ネットで調べてみるとキウイのパレードグロスには無色のモノと着色された商品があることが判りました。今回は、どんな色にも対応できる汎用性の高いナチュラル(無色)のパレードグロスを購入。
そして新品のグラスゴーに靴墨を塗り終えた後に実際にパレードグロスを試してみました。ですが全く輝かせることができません。
ネットではワックスと水を混ぜて根気よく磨けば簡単にハイシャイン仕上げ出来るような書き方をしている記事が多いので私も頑張って1時間くらい一心不乱に磨いてみました。
そんなに必死に磨いても鏡面には、ほど遠い状態。
力尽きた私はプロがシャイン仕上げをしているところを実際に見た方が早いと思い都内の新橋駅にある『靴みがき本舗』さんへと、お邪魔することにしました。
たくさんあるメニューから選んだのは、お店がオススメする『Care & Shine』
靴みがき本舗さんは新橋駅前ビル 2号館 B1の飲み屋街のような場所の一角でひっそりと営業しています。
私が訪問したのは金曜日の夕方6時半くらいだったので周りの居酒屋は帰りがけのサラリーマンの人たちで賑わっていました。
『本当に、こんな場所にあるのかな〜』と不安になってきた時に靴みがき本舗の看板を発見。
メニューは、ぶらりと来て施述してもらえる当日コースと現地に来れない遠方の方から預かって施述する2つのコースに分かれます。
当日に飛び込みで施述できるコースは3種類。
- 『Classic Shine』8〜12分 ¥1,080 全体をWAXで輝かせるベーシックコース
- 『Care & Shine』15〜20分 ¥2,160 靴の状態に合わせたCare(お手入れ) & Shine(磨き)のオススメのセットコース
- 『After Care & Shine』25〜30分 ¥3,240 インナーケア(消毒脱臭)&ソールケア(革底のみ)&アッパーCare(お手入れ) & Shine(磨き)のフルコース
そして、コチラは預かって施述するコースです。
- 『Fine Shine』¥2,160 全体をWAXで輝かせ、さらに爪先を徹底的にみがきあげ感動の鏡面仕上げにする
- 『Before Care & Shine』¥2,160 新品購入時の、Care(お手入れ) & Shine(磨き)のセットコース
- 『Care & Shine』¥2,160 靴の状況に合わせた、Care(お手入れ) & Shine(磨き)のオススメのセットコース
- 『After Care & Shine』¥2,700 インナーケア(消毒脱臭)&ソールケア(革底のみ)&アッパーCare(お手入れ) & Shine(磨き)のフルコース
- 『Saphir Care & Shine』¥2,700 サフィールクリームのみを使用し靴の状況に合わせた、Care(お手入れ) & Shine(磨き)のこだわりのセットコース
- 『Alden Care & Shine(For CORDVAN』¥3,240 オールデンオリジナル&コードヴァン専用クリーム・WaxでCare(お手入れ) & Shine(磨き)で独特の輝きを蘇らせるコードヴァン専用コース
- 『John Lobb Care & Shine』¥3,240 ジョンロブオリジナル&厳選クリーム・Waxを使用しアッパーコンディションを整え(Care)、美しく輝かせる(Shine)最上級コース
ちなみに爬虫類などの特殊な革はケアサービス対象外だそうです。
ワックスを使用しないサフィールの保湿クリームのみを使って鏡面磨きをするサービスも興味をそそりますね。一体、どうやって鏡面処理をするんでしょうか?
さらに革靴の老舗ブランドのオールデンやジョンロブの靴を専用クリームを使って受けられるサービスもあるのは革靴好きには嬉しいという方も多いかもしれません。
私は今回、お店がオススメする『Care & Shine』コースを選択しました。もちろん鏡面磨きもサービスの中に入っていますので勉強もさせていただきます。
では、魅せてもらいましょう。そのプロの技術を。
靴みがき歴4年の店員さんに靴を磨いてもらう
靴を脱いで靴磨きをするのかと思いきや履いたまま施述をしてくれるようです。
店内は店員さんとお客との間に30cmくらいの段差があるので店員さんが靴を磨くには、ちょうど良い高さになるレイアウトになっています。
椅子に座ると、いよいよ施述が開始されました。まずはアッパーとコバにブラシをかけ埃を払っていきます。
今回、クリーナで汚れを落とす作業が入りませんでしたが、『Care(お手入れ) & Shine(磨き)』は靴の状況に合わせたケアと書かれているので最近、自分で磨いたばかりのleonの革靴は汚れを落とす必要が無いと判断されたようです。
保湿クリームを塗る時にビックリする事が!! なんとクリームを素手で塗っていますっ゚Д゚)っ
まるで身体にボディクリームを塗るかのように手の平に保湿クリームを取り靴に塗り込んでいきます。
布やブラシに付けて塗るよりも手の感触で塗る方が塗りムラが無いのでしょうか?次に包帯のように長い布を人差し指と中指に巻き付けて手際よく靴墨を塗っていきます。
ここまで見た感じでは手際の良さと素手でクリームを塗る以外は私の靴磨き方法と変わりません。『ハイシャイン仕上げの極意は、ここから先が重要なのか!?』と心の中でさけんでいると店員さんはシャイン仕上げの下準備に入るようです。
光沢用のワックスも指先に直接付けて円を描くように、つま先に塗っていきます。
ワックスを何度も塗っていくと、そのうち革の表面に渦のような塗り跡が出てくるようになりました。
leonが布にワックスを取り普通に塗り込んでいったのに対して店員さんは革の表面に塗りムラのような模様ができても全く気にすることなく撫でるように塗り込んでいることが印象的でした。
ある程度。塗り重ねたところで右足の靴の処理は一旦、終了して左足の靴の施述へ。左足に保湿クリームを塗っている間に右足のつま先に塗ったワックスを乾かすようです。
左足も同様の処理を施すと、いよいよ右足のつま先のシャイン仕上げに入っていきます。
見たところ右足のつま先に塗られたワックスは乾いてきているようです。この後、何をするか興味津々で見ていると指に巻き付けたクロスに少量の水を付けてワックスを馴染ませながら再度、塗っていきます。
ちなみに水を付ける際に下記のような水さしを使用していました。プッシュすると適量の水を布に含ませる事ができる優れものです。
つま先に付いたワックスは水分を含んでいるのでヌメっとした感じになっています。
そのヌメっとした状態を利用して『撫でる』ようにクロスで小さな円を描きます。水分が飛んでワックスの滑りが悪くなってきたら、また少量の水をクロスに付けワックスを馴染ませながら同じ動作を繰り返していきます。
店員さんの動作は『撫でる』というよりも『滑らせる』と言った方が良いでしょうか?
まるで、ゆで卵の表面を傷付けないように撫で上げるような繊細な動きです。
そんな動作を見つめていると
次第に、光沢のようなツヤが出てきました。
よーく見ると、つま先は厚い膜のようなものに覆われています。
店員さんは非常にソフトに滑らせるように円を描いていましたが、いつの間にかにワックスが何層にも塗りこまれているのにはチョット驚きました。
まるで魔法を見ているような感覚です。
シャイン仕上げのコツがやっと理解できた!! 自分で磨けばコストは材料費だけ
店員さんによるとleonのように力を入れて塗ってしまうと革の表面に乗ったワックスを拭き取ってしまう為、ワックス層を作ることができないそうです。
どうやら光沢ワックスと少量の水を含ませヌメっとした状態で何度も革の表面を撫でるように滑らせることがシャイン仕上げの極意のようです。
また私が使用しているナチュラル(無色)のパレードグロスは粘度が高く硬いので初心者には難しいということも教えてくれました。色の付いたパレードグロスの方が柔らかいので滑らせやすいそうです。
さすがにプロの靴磨き屋さんなだけあって、つま先だけではなく他の革の部分もしっとりしていますね。
お店で使用している保湿クリームはオリジナルの物らしいのですが自宅でも使用したい!!
今回、履いている靴を、その場で磨いてもらうという初めての経験をさせてもらいましたが、やはり毎回、¥2,160を支払うのは厳しいです。
また都内に訪問するチャンスも、そうそう無いので今回、見ることのできた技術を自分で実践していこうと思います。
ケア用品代だけで済めば、お財布にも優しいですし、何より自分で磨いた方が靴に愛着が持てますからね。という訳で今回は敢えてグラスゴーではなくリーガルのY823を施工してもらいました。極意を見たからにはグラスゴーは自分でハイシャイン仕上げしてみようと思います。
もしプロの技を実際に見てみたいという方は「靴磨き本舗」に訪れてみてはいかがでしょうか。
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